夏になると、熱中症で搬送されるニュースが後を立ちません。
家の中に居て熱中症。。。
プールに入っていて熱中症。。。
水を飲んていて熱中症。。。
おそらく、気をつけているのでしょうが、認識不足(間違った思い込み)によって、熱中症を起こしてしまうのでしょう。
全部ひっくるめて熱中症
ひと昔前は、色々な呼び方(後述)がありましたが、今は重症度でわけています。
なお、次のどのレベルであっても熱中症と言います。
I度(熱けいれん、熱失神)
めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の発汗があります。
また、発汗により水分(塩分)不足となり、筋肉の硬直(又は攣る(つる))、痛みなどが出ます。
なお、体温は正常であることが多いようです。
II度(熱疲労)
頭痛、吐き気、身体がぐったりする、力が入らない、また集中力の低下などが見受けられます。
なお、体温は上昇しますが、皮膚は冷たいです。
III度(熱射病)
歩くとフラフラする(まっすぐ歩けない)、呼びかけても反応がおかしいいなど意識障害が出ます。
おかしいな?と思ったら
屋内、屋外にかかわらず暑い場所にいる時は、自分も含めて一緒にいる人にも目を向けましょう。
我慢するのが美徳という勘違いしている人もいまだにいます。
結果として、周りに迷惑を掛けてしまっては、美徳と正反対になってしまいます。
では、先ほどの熱中症の状態になっている可能性があれば、以下を確認して対応します。
意識がない、又はおかしい
すぐに救急車を呼びます。
水分を自分で飲めない
病院などに行きます(連れて行きます)。
また、水を飲めたとしても、吐いてしまったり、下痢などで(水分を)排出してしまう場合も、速やかに病院に行きます。
水分を採り、涼しい場所に移動しても、改善しない場合は病院で診察を受けた方がいいでしょう。
なお、1人の場合も、状態が悪化したら(1人では)対応できなくなる可能性もありますので、あまり我慢せず診察を受けた方がいいです。
昔の呼び名で(まだ)出ています
今は、熱中症(レベルI〜III)という言い方が定着しつつありますが、以前は「日射病」、「熱射病」など色々な言い方がありました。
世代によっては以前の呼び方をする人もいると思います。
状態(症状)は熱中症のレベルI〜IIIのいずれかに当てはまるのですが、発生環境などによって使い分けていたようです。
日射病
炎天下でのスポーツ、作業などで大量に汗をかき、体内の水分が足りなくなる(脱水症状)状態です。
熱射病と同じですが、発生環境で使い分けていました。
お年寄りなどは、この言い方が頭にある為、家の中なら大丈夫だと思って、室内での熱中症の事故が多いのかも知れません。
熱中症(昔)
炎天下、高温多湿の室内など色々な条件により、体内の熱を発散できず、体内に熱が溜まってしまう状態です。
これを進行状況や身体機能への影響によって4つに分類されてました。
熱失神(ねつしっしん)
発汗による脱水で脳への血液量が減少した時に発生します。
結果、貧血、めまいなど意識が消失したような状態となります。
現在の「熱中症I度」になります。
熱痙攣(ねつけいれん)
発汗によりナトリウム量(塩分)が不足して、筋肉に影響を及ぼします。
結果、筋肉が硬直し、痛みや痙攣(けいれん)が起こります。
現在の「熱中症I度」になります。
熱疲労(ねつひろう)
発汗により、さらに脱水状態が進行します。
結果、体内の水分不足により、体温が上昇し、頭痛、吐き気、虚脱感(身体が思うように動かない)などが起こります。
現在の「熱中症II度」になります。
熱射病(ねっしゃびょう)
上記、症状がさらに進み、神経機能低下が起こります。
結果、体温調整(自律神経)ができず、40度以上の高熱が見られ、発汗も止まり、意識障害が起こります。
現在の「熱中症III度」になります。
人間は水分で出てきている
暑い場所にいたり、運動すると汗をかきます。
そのまま放置すると、脱水症状により、身体に不調をきたし、最悪、死んでしまいます。
発端は汗です。
たかが水分ですよね。
事故で大量出血するならまだしも、汗です。
しかし、人が生きていく為には水分はとても重要です。
それは、水が人間の体の60%を占めているからです。
体内の水分の20%を失われると、人は生きていけません。
人は日々、水を排出しています。
呼吸するだけでも1日0.5リットル、排泄物を合わせると、1日2.5リットルの水分を体の外に出しています。
その分、水分を補う必要があります。
食事で1リットル、代謝(体内の化学変化)により、0.5リットルほど補えます。
よって、1日1リットルを目安に水を飲むとよいでしょう。
なお、これは通常生活の場合であって、高温多湿の場所にいたり、運動で汗をかいたら、最低限、その分の水分補給は必要になります。
水分を摂ればいいってもんじゃない
水分補給ですが、通常生活においては、ミネラルウオーターをおすすめします。
ミネラルウォーターとは、マグネシウム、カルシウム、カリウムなどの無機質(ミネラル分)が溶けた水です。
水道水でもいいのですが、残留塩素(※1)がある為、美味しくなかったり、体内での影響がないとは言い切れません。
では、どのミネラルウォーターがいいのでしょうか?
マグネシウム、カルシウムが少ない軟水と呼ばれるものが比較的飲みやすくオススメです。
地形上、日本のミネラルウォーターのほとんどが軟水です。
マグネシウム量が多い硬水は、腸を刺激する為、胃腸が弱い人や、小さいお子さんは飲まない方がいいかも知れません。
コーヒーや、お酒などは、カフェインやアルコールを分解する際、水を使いますので、水分補給という意味ではおすすめしません(あくまで嗜好品です)。
また、暑い日の外出や、運動で汗を多めにかいたと思ったら、塩分も合わせて摂る必要があります。
水道法(水道法施行規則)によって、 安全性確保のために蛇口から出る水道水には、必ず一定の残留塩素があるように定められています。
スポーツドリンクはどうなのか?
スポーツドリンクは運動などで失われがちな、電解質(ナトリウム・カリウムイオンなど)やミネラルを補う飲料です。
また、水、糖分、塩分がバランスよく配分され、体内に吸収しやすいようにしています。
しかし、熱中症などの脱水状態では体内の塩分が不足している為、スポーツドリンクの成分バランスでは体内に吸収しにくくなります。
そのような時の為に、経口補水液(けいこうほすいえき)と呼ばれる種類の飲料があります。
経口補水液は汗をかいた身体が吸収しやすいように、糖質が少なく、他の成分は多く配分されている為、運動や熱中症の脱水状態時に向いています。
逆に運動をしていない(あまり汗をかいてない)状態で、スポーツドリンクを常用すると、糖質が多い為、太る可能性が大きいです。
まとめ
- 現在は、重症度レベルにより「熱中症I〜III度」となっている
- 熱中症I度:めまい、大量の発汗、筋肉の痛み、硬直
- 熱中症II度:頭痛、吐き気、力が入らない
- 熱中症III度:まっすぐ歩けない、意識障害
- 日射病は昔の呼び方(屋外での熱中症)
- 1日1リットルを目安に水を飲む
- 軟水のミネラルウォーターがオススメ
- 緊急時はスポーツドリンクではなく経口補水液を飲む